

ブレンド VS シンプル&ピュア
2011-10-28
加工される食べ物・飲み物には、常にこの「ブレンド VS シンプル&ピュア」という美味しさの追求方法の2方向が存在しますね。ワインももちろんそうです。
■ブレンドのメリット
何種類かを混ぜると、味も香りも複雑になり、人の感覚はそれを深みとか奥行きと感じます。例えば1種類のぶどう品種では酸味が足りないとか、甘みが足りないとか、欠けているものがあるの
で、異なる性格を持つ品種を混ぜ合わすことで、欠点を補い合うのですね。悪く言えば混ぜてごまかすということなんですが、良く言えばブレンドの妙と言えるでしょう。
木の樽で熟成させるのも、樽の香りや木のエキスが混じることで、複雑さを増すことができるという意味で、ブレンドに似た働きがあると言えます。
ボルドーの有名銘柄は、複数のぶどう品種で造った原酒を最終的に混ぜて完成するので、ブレンドタイプの代表です。
■シンプル&ピュアのメリット
単一のぶどう品種で、しかも樽熟成を行わない(場合によっては畑も1カ所に限定)のが、究極のシンプル&ピュアな造り方ということになります。ぶどう本来の美味しさをそのまま引き出した
ワインということですよね。
しかし、単一のぶどうから最終的にバランスのいいワインを造り出そうとすると、ぶどうの栽培がものすごく重要になってきます。良い土壌、気象条件、土地の手入れや施肥、木の樹齢や剪定、そして適切なタイミングでの収穫。
シンプル&ピュアは、飲む側にとってはぶどう本来の美味しさを楽しめるというメリットがあるものの、造る側にとっては大変な苦労だということになります。
ブルゴーニュはピノ・ノワール100%など単一品種のワインが多いですが、樽熟成はやっているものが多いので、完璧なシンプル&ピュアではありませんが、ボルドーに比べるとシンプルだと言え
ます。
■おそらく現代の食に合うシンプル&ピュアワイン
食品の輸送・保存技術が発達した現代の料理は、素材そのものの美味しさをシンプルに楽しめるものになっています。日本料理などは元々がシンプルですし・・・。
そんな現代の料理には、あまり複雑で強い味のワインは必要ないんじゃないかというのが、私の思うところです。
伝統的で良いものも素晴らしいとは思いますが、どんなものも時代の変化に合わせて変わるものです。
1855年の格付けなんて、100年以上も昔の話ですから、もうそろそろそんなものに引きずられるのはやめてもいいのではないでしょうか?