

「新しいワインの科学」
2016-10-19

ジェイミー・グッドというイギリスのワイン・ジャーナリストが書いた本で、日本では2008年に訳が出た「ワインの科学」をさらに新しい情報に書き換えて2014年に出版されたようだ。
ひとことでワインの科学といっても広範囲に及ぶから、この本では広く浅く最近のワインの科学を紹介している。研究所や大学の研究結果や、造り手の意見などをミックスして、例えば逆浸透膜による水分やアルコールの除去はどうなんだとか、テロワールを科学的に解析するとどうなんだといったテーマを掘り下げている。
何分にも新しい技術や、最近わかって来たことが中心なので、まだ明快な結論は出ていない事柄が多い。そのため、読んでも余計に消化不良になるかも知れない。
ただ、売り文句に騙されないためにも知っておくべき情報が満載なのが嬉しい。また、著者がイギリスのジャーナリストということは、世界中からワインを買い集めるお国柄なので、どこかの国に肩入れすることもなく世界中のワイン造りの現場で起こっている事を、比較的公正に扱っているように思う。それも我々日本人にとって好ましいことではないだろうか。