

まだ、こんなことがあったのか
2017-04-05

表題は、BRUTUSの最新号の中で坂本龍一さんが語った言葉です。
この前書いたように、dマガジンを利用するようになって、雑誌に接する機会がびっくりする程増え、かつてはBRUTUSなどは美容室で読む程度だったのに、本当にお手軽になりました。
この号は音楽特集です。そして件のお言葉は、坂本さんは普段どんな音楽を聞いているのかという問いかけの中で発せられたものです。
彼はともかくいろんなジャンルの物を雑多に聞くのだそうで、やはり創作面での刺激になると言っていて、そんな中で「まだ、こんなことがあったのか」という発見があるというのです。
私など素人の目から見ると、音楽も既にあらゆる事がやり尽くされた感があって、メロディにしてももう過去にはなかったメロディを生み出すのは難しいのではないかと思ったりします。とくに長年創り続けている人が新しいものを創り出すのはかなり大変なのでは?
それでも、時々「新しい」と感じられる音楽が生まれるのは、案外、既成概念とか、専門教育とかから距離のある人がさらっと創ったものだったりするわけですね。曲全体が常識外れ過ぎると人はとっつきにくくなってしまうのですが、ちょっとした違和感が入っていると「新しい」とか「個性的」と感じるんですね。
私はワインにおいて、その「ちょっとした違和感」を求めている人間の一人だと自覚しています。
今や、チリでもアルゼンチンでも、南アフリカでも、万人好みの飲み口が良くてそこそこコクのあるワインはゴロゴロありますが、どれも同じような方向を向いているんです。音楽で言えば、どこかで聞いたことのあるようなって感じです。ほぼ毎日ワインを飲んでいると、飽きてくるのです。
ちょっとした違和感、今までに感じた事の無い驚きを生んで欲しいし、バイヤーさんにもそういう視点を持ってほしいと願います。