

ボージョレーとガメイのお話
2012-11-29

恒例のボージョレー・ヌーボ騒ぎもあっという間に終わり、お店には売れ残った商品がまだ並んでいますね。私は飲んでません。
いつもどこかの飲み屋でサービスで出してくれるのを飲むくらいです。
さて、ボージョレーといえばガメイという品種で造られているわけですが・・・。
■ 繁殖力旺盛なガメイ
ガメイという品種は、繁殖力が強く、育てやすく、特にボージョレーの気候や土壌に合っていたようです。そのため、栽培する人
にとっては楽な品種だったのですね。
しかし、ガメイは美味しいワインを生む品種とは言い難く、結局は経済的に造れる早飲みワインなのです。
■ ガメイ禁止令も効かなかったらしい
1395年、時の王フェリペⅡ世はガメイの栽培を禁止し、ピノ・ノワールやシャルドネに切り替えるよう命令を下したそうです。つまり、その頃既にガメイで造るワインはイマイチで高く売れなかったので、領地でできるワインの付加価値を上げようというのは、トップに立つ人間としては当然の考えだったと思われます。
ところが、マコンは命令が効いたのですが、ボージョレーには通用しなかったそうです。それほどに育てやすかったのと、本当の
ところは知りませんが、大体中心部から遠く離れるほど御上の命令は徹底しないものです。
■ ヌーボーは傑出したプロモーション
フランス人のプロモーションアイデアの素晴らしさには頭が下がります。ヌーボーもその一つ。ま、「新米フェア」とかと同じなんですが、このおかげで安物ワインのボージョレーが多く人々の知るところとなったのです。
けど、ヌーボーだけでなく、そもそも1855年パリ万博の時の格付けだって素晴らしいプロモーションだし、シャルドネだけで造ったシャンパーニュをブラン・ドゥ・ブランと呼んで特別扱いするのも上手い!
ってことで、仕掛けに乗るなら乗る、乗らないぞと突っ張るなら突っ張る。どっちもアリかなあと思います。
■ ボージョレー地区にも10個のグラン・クリュ
ガメイであっても、個性のあるいいワインもあり、それらはいずれもボージョレーの谷から丘に登ったところに存在し、土質が異なるらしいです。ムーラナヴァンなどがそれです。
(写真はフェリペⅡ世の肖像)