

ワインと土壌の謎2 silex
2014-06-12

■ 石灰岩・マール・シレックス
サンセールの土壌について読んでいます。その結果、サンセールの土質は、石灰岩(calcaire)とマール(marne 石灰岩質泥灰岩ともいう)とシレックス(silex)のいずれかということだ。
ワインの味との関係を簡単に言うと、
石灰岩: さわやか
マール: 力強さ
シレックス: キリッとしたミネラル感
ということらしい。
通常、サンセールの造り手たちは、複数の場所に畑を持っていて、区画ごとに醸造し、瓶詰めの前にブレンドすると書かれていた(実際には単一区画の製品もあるが・・・)。
つまり、各土壌(土質)から生まれるワインの特徴を生かしつつ、弱い部分をカバーして全体のバランスをとるためにブレンドするということだ。
ここで一番わからないのがシレックスである。そもそもシレックスとは何なのか? それはチャートという二酸化ケイ素を主成分とする石。二酸化ケイ素の結晶といえば石英だ。ただこのシレックスにはそれ以外の成分、例えば鉄とかアルミとかナトリウムとか、もっと希少な元素も含まれているようだ。ならば、シレックスはどうやってできたのか? これももう一つはっきりしないが、珪藻類のようなケイ酸化合物の殻を持つ生物(図)が繁殖した結果できたとの説が有力。というのも、かの石灰岩も、貝類や動物の骨などからできたもだし、その上の層にシレックスが重なっているというのであれば、同じように生物説が有力になる。二酸化ケイ素は地殻の成分として元々あるけれど、もしマグマが覆いかぶさったとしたら、シレックスのような組成では済まない…ということなのだろう。
■ サンセールとシャブリ
シャブリは少し離れているけれど、ブルゴーニュに分類される。しかし、実際はサンセールとシャブリは土壌的に似ているようだ。ロワール川をはさんで、サンセールは南側、シャブリは北側だから、一旦海で分かれて、再度寄せ集まることで現在のフランスができるまでは、2つの地域は大きく離れていた。ただ、同じような時代の同じような地層が両側にあると考えたらいいだろう。
シャブリではシャルドネが栽培され、サンセールではソーヴィニヨン・ブランが栽培されているので、よく似た土壌のぶどう品種違いということになる。
シャブリは生牡蠣との相性で有名になりすぎて、ずいぶん昔にパリのカフェで牡蠣など貝の盛り合わせを注文していざワインを選ぼうとした時、シャブリがあまりに高いので、覚えのあったサンセールをたのんだ。半額ぐらいだった。サンセールも牡蠣に合うじゃん!と思った。
■ シレックスをことさら強調する風潮
適度なコクとシャープなキレ…といってもどの程度が適度なのかは好みの分かれるところだろう。「うちのテロワールはシレックス」と強調しているドメーヌでも、何か甘くて重いワインもある。
どうもシレックスと書いた方が売れるらしく、やたらとシレックスという文字が目立つ今日この頃。まあ、シレックスはいいと思うけど、それだけでは判断がつかないので要注意だと思う。
あと、シレックスに含まれる何がキレなりミネラル感に直結しているのかをハッキリと言及した文献には出会えていない。ほんとにストレスがたまる・・・。