

古いワイン本の選別9 「オズ・クラークのポケット・ワインブック」
2013-08-09

「オズ・クラークのポケット・ワインブック」
監修:上野善久、訳:香川由利子・桑原 透、1999年版
この日本語版の訳本は、今は発行されていない。
しかし、本国では毎年リリースされている模様。
■ ワインの辞書として有用な一冊
ポケットワインブックといえば、パーカー等のワイン銘柄の点数がついているものを想像するが、1999年時点でこの本はそういう仕様ではない。
アルファベット順で、あらゆるワインに関連する用語や産地、有名な銘柄などの説明が掲載されている。
網羅されている産出国も幅広く、とても簡潔かつその時代の最新情報にも触れられていて、とても参考になる。
■ 写真や図が少ないのが難
残念ながら、写真も図もきわめて少ない。まったくもって、辞書である。けど、検索性はいいし、そんじょそこらのウェブに掲載されている内容よりも信頼がおけそうだ。
今や訳本が出ていないのは、やはりクラークさんが日本では有名じゃないからだろう。
■ 結構辛辣な書き口
ある一節を引用してみよう。
「シャブリ シャブリはパリとディジョンの中間に位置する、ブルゴーニュ地方最北のワイン生産地だ。シャルドネの成熟には困難を伴う。それにここにはうんざりするような霜の記録がある。というわけで値段には変動がある。シャブリの抱えているもう一つの問題は、辛口から中口まで、白から白とは言えないものまで、手に入るブドウはなんでも使った安価なワインの代名詞になってしまったことだ。本物のシャブリは、常に白の辛口だ。それでいて、軽く控えめな果実味を含んでいて、芳しい風味のワインになる。(後略)」
他の産地の記述でも「有名な名前の多くはもはや最高品質を保証するものではない。」などと書かれている。
そんなわけで、一応この本は取り置くことにする。
できたら最新の英語版も欲しいところだ。