
古いワイン本の選別4 「ワイン学」 CATEGORY:本・テレビ 2013-07-11 
「ワイン学」 ワイン学編集委員会編 1998年初版。
現在も販売されている模様。
この本の特徴を以下に箇条書きにします。
● 多数の学者が出筆して構成された、かなり科学的な本である。
● ワインの発生に始まり、ぶどうの栽培(ここは農学的な部分)、発酵(醸造学、化学的な部分)、生産、味わいなどが網羅されている。
● 写真やデータ、図などが豊富。
全体として、情緒性はないが、ワインがまずは農業であり、発酵の化学によってその結果としてのワインが誕生するのだから、ワインを知るには良い教科書である。
よって、この本は残しておくことにした。

古いワイン本の選別3 「ワインジャーナリストが唎く」 CATEGORY:本・テレビ 2013-07-10 
今回は、「ワインジャーナリストが唎く ~世界葡萄畑最前線
~」有坂芙美子著 1987年発行 である。
私は極めて記憶力が悪く、沢山読んだワイン本で記憶のあるものは少ない。そんな中で、この本については面白いから読んでみたら? と友人に薦めた記憶がある。けれど、内容までは憶えていなかった。
■ 1980年代のワイン界を感じさせてくれる一冊
著者である有坂さんは、日本初のワイン専門誌『ヴィノテーク』
の創業者にして、日本を代表するワイン・ジャーナリストであ
る。彼女は精力的に世界のワイン産地を取材して回り、そこで得た情報、思ったことなどを生き生きと書いておられる。
1980年代と言えば、日本ではバブルである。しかし、それ以上に
1980年代というのは、あの不幸な第二次世界大戦から35年以上を過ぎ、本家のヨーロッパでも、新しい産地のアメリカやその他の地域でも、ワイン造り(ぶどう作り)に専念し、改良を重ね、投資も行き届いて良い時代に差し掛かっていたと言える。
そんな時代の現場を感じることができる一冊ということになる。
■ フランスのウエイトが低いところが面白い
本の冒頭はアメリカから始まる。それ自体珍しい。そしてフランスの扱いはわりとあっさりだ。フランスの情報は他でもきっとわかるし、そんなことよりも、違う地域に目を向けているところが魅力的だ。
現実に自分自身が接するワインも圧倒的にフランスモノが多く、
アメリカやオーストラリアのものについては知識も浅く、値段の割に美味しいかというと、そうでもないような気がして、なかなか手が出ない。この本を読むと、もっと世界に目を向けないと…と思う。
■ なぜamazonにも出てこない?
前の二冊はamazonで古本が売られていたが、この本は見つからなかった。専門的すぎてあまり売れなかったのかも知れない。実際初心者向きの本ではないけれど、読みごたえはある。
とりあえずワインの歴史書として?持っておこう。

古いワイン本の選別2 「ワイン道」 CATEGORY:本・テレビ 2013-07-08 
今回は、「ワイン道」 葉山孝太郎著 1996年初版。
■ ミーハーな書き口だ
葉山孝太郎氏はウィキによれば、自らをおちゃらけワインライターと言っているらしい。
有名ワイン虎の巻など、にわか仕立てでワイン通ぶるにはこれだけの知識を持っておこう的な内容に溢れている。今回読み返した時に、これはバブル時代の本だろうと思ったが、実はもう少し新しかったのでびっくり。
それでもワインライターさんであるから、まともな事ももちろん書いてある。
■ さすがにマスコミや出版関係のエピソードは面白い
パーカーやワインスペクテーターに関しての記述も、それらをヨイショするのではなく、そこそこ核心を突いた内容になっている。
結局パーカーは濃いワインが好きなんだとか、ワインスペクテーターは一握りのお金持ち向けなので、一般のワインファンから嫌がられているなど・・・。
■ 結論としては捨てることに
軽い読み物としてはいいかも知れないが、とって置くほどの価値はないと私は判断した。
これを読んで喜ぶような人は、先般話題になった村上春樹の「色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年」をオープンカフェでカバーを付けずに見せびらかして読むような人物だと思う。

古いワイン本の選別 「ワインを聴く」 CATEGORY:本・テレビ 2013-07-05 
家に本が溢れている。どれを捨ててどれを置いておくか? その選別をしたいと思う。従って、ここで出てくる本はかなり古いので、悪しからずというところです。
今回は、「ワインを聴く ~テースティングの奥義を極める~」伊藤眞人著、1990年初版です。
この本の特徴を列挙します。
● 表題にあるように、テイスティングについて、非常に詳しく書かれている。詳しすぎて、また、すごくシビアすぎて、プロ向きである。
● ワインの表現というところで、図に描くことを試みている。この図を見ると、ワインを飲んで、それを表現することの難しさを感じる。他の言葉に置き換えても、図に描いてもやっぱりワインを表現することはできないんだなあと痛感する。
● 世界のワイナリーにアンケートをした結果が掲載されている。これは非常に面白い。
①ワインづくりの職人として、求める理想のワイン像というものをおもちのことと思いますが、それはどのようなワインでしょうか? に始まり、⑦番目までの質問があり、回答が日本語訳で掲載されているのだ。有名ワインの造り手からの回答がしっかり集まっているのが魅力。
以上のような感じで、特に3つめがいいから、この本は捨てないでおこう。

「ワインの基礎力 70のステップ」を読んで思ったこと CATEGORY:本・テレビ 2013-07-02 
この本は2006年初版で、著者は石井文月さんとなっている。
現在は『ワインの基礎力 80のステップ』が売られており、著者は斉藤研一さんということなので、要注意です。
■ 詳しくてデザインも美しい本
この本は、かなり専門的で、ターゲットはソムリエを目指す人とか、ワインを商売にする人などプロのようです。
ぶどう栽培から、産地、ワインの製造技術、テイスティング、生産者など、内容は多岐に渡っています。
ブラックとグリーンの二色刷りで、図が多く、それらのデザインもきれい。出版社が美術出版社ということなので、そのせいでしょう。
■ へーぇ! と ウーン!
変な小見出しをつけてしまいました。というのも、大体自分の知らないことが書いてあったら「へーぇ!」と感心し、自分が知っていることで見解の相違があると「ウーン!」とうなってしまいます。
この本には両方があって、結構「ウーン!」も多いですね。「ウーン!」が多いと、本全体が信じられなくなるのが困りものです。別にこの本をけなしているわけではないんですけど、非常にスタンダードな内容、ということは、ソムリエさんなどの知識に近い内容という感じでしょうか?
先入観なしに、ともかくワインを楽しもうという私のような人間
にとっては、「ウーン!」という部分が多いようです。
■ 実践編に多かったウーン!
当然そうですよね。実践編というのは、実際にワインを楽しむ部分で、テイスティングとか、温度、料理との相性の部分です。
書いてあることはいわゆる教科書通りで、そういう意味では合っているし、もしテストを受けるなら、この本に書かれているように憶えておかないと点数はかせげない。でも、実際に飲んでみると、教科書通りではないことも沢山あるのです。
例えば「甲殻類に赤ワインは相応しくない組み合わせ」だと書いてありますが、実際、ソース・アメリケーヌなどには、軽めの赤は合うんですよね。
紙幅があるので、細かいことは書けなかったのだと思いますが、いずれにせよ、広く浅くの本であることは間違いありません。
■ コンパクトにまとまった参考書としてはいい
何かわからないときに、さっと見て参考にするには、よく整理されており、検索性も優れています。
そういう意味では入門時の虎の巻として置いておくと便利かもしれません。
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