
日本料理の季節感 カテゴリー:その他 2015-03-02 
私事ですが、昨日は法事で、西宮のお酒「白鷹」がやっている竹葉亭で食事をしました。お手頃会席料理です。
3日後が雛祭りということもあり、店内にはかなりクラシックな巨大なお雛様が2種類飾られていました。おそらく、オーナー家のコレクションでしょう。
そして、お料理の最初は、写真のようなお雛さまの器が使われていました。この他にも、お椀は梅の柄でしたし、最後のデザートも梅の形をしたガラスの器でした。(雛祭りは本当は桃なんですけど、いいことにしましょう)
造り酒屋は地元の名士で、旦那さんは粋をわきまえた方なので、やはり季節をしっかりと演出する料理の出し方をしようとしてくれています。現代の・・・というか、欧米式の経営学的にいうと、無駄この上ないこういう演出が、日本人には嬉しいですよね。
食材も、たけのこ、しらうお、なのはななど季節を先取りしたものが使われていました。そして、最後にはウナギ。このウナギでもって、コースの栄養バランスは素晴らしいものになっています。
造り酒屋さんが営む料理屋なので、お酒の飲める人は当然ここのお酒を飲んでいましたが、その提供の仕方も小粋な片口とガラスの小さいぐい飲みでした。

ワイン3stepさんのホスピタリティ カテゴリー:ワインショップ 2015-02-02 
ワインの購入は、一般の小売店、デパート、そしてネットショッピングを活用している。
今回初めて利用させてもらった「ワイン3step」さんは、何でも和歌山県にあるそうだ。何かの検索でこのショップに行きついて、とりあえず目的のワインとその他で3本を購入してみた。
各ボトルはエアキャップの袋に入っていて、写真のような説明書きが1本1本にぶら下がっていた。ここまで丁寧なショップは初めてである。
ネットショップも競争が激しいが、品ぞろえや価格はいろいろで、1店だけ推薦できるような状況ではない。
3stepさんは、まずサイトのデザインはまあまあ綺麗(だけど文字が多すぎる気もするが、おそらくそれは親切心なのだと思う)し、梱包や説明書付というサービスは今まで利用した中で最も良かった。
品ぞろえについては、3本全部を飲んでからご報告したいと思う。

淡路島で見た白亜紀の地層 カテゴリー:その他 2014-12-24 
ワインのテロワールの記述に、石灰岩などの母岩の上に川が運んだ堆積層があって・・・という様なのがよくあるが、都会生活をしている我々にはもう一つピンとこないものだ。ぶどうの根は堆積層を貫いて岩盤に侵入し云々。
この21日と22日に淡路島へ行った時、とても分かりやすい光景を目にした。
■ 中央構造線の北沿い = 淡路島の南海岸
淡路島は大きい島で、本州側から眺めるとなだらかなイメージがあるものの、実際に行ってみて海岸沿いを一周すると、案外険しいと感じるものだ。広い砂浜などはほとんど無い。西海岸の道は港沿いの海面に近いところを走っていたと思うと、すぐに岬の後背地の峠に上り、また降りての繰り返しである。そして、南海岸の水仙郷で有名なあたりは断崖絶壁の麓に道路が通っている。もちろん大鳴門橋があって有名な渦潮が起こるあたりは非常に険しい地形である。
このあたりの地層は「和泉層群」と呼ばれていて、7000万年前の中生代白亜紀後期、海底にたい積した砂岩や泥岩、れき岩、凝灰岩からできたたい積岩の地層だそうだ。なので、このあたりでは沢山のアンモナイトなどの化石が発見されている。
■ 岩盤の上に生える木々
黒岩水仙郷のあたりの上部はしっかりと木々が覆っているが、木が地上部に出始める部分と岩盤の間に砂などで出来た分厚い堆積層はほとんど見当たらない。おそらく岩の少しの隙間に草などが生え、さらにはそこに樹木の種が飛んできて根を下ろし、岩の隙間で根が太くなってヒビが入り…というようなことが繰り返された結果、現在では木々が岩の上にぎっしりと繁茂している。けれどもそういう場所だから、耕作には向かないし、植林にすら向いていないようだ。野生のサルや鹿もいた。
長年の植物による風化、雨や波や海風、太陽の照射などが繰り返されて、断崖の所々は崩壊している。
フランスの多くのぶどう園は、ここよりはもう少し砂利などの堆積層が厚いところに開かれているケースが多い。
■ 白亜紀といえば
そう、ロワールやシャンパーニュは白亜紀の地層だ。両地は現在は内陸部にあるが、ここ日本ではこのように今も海近くにある。

ボルドーを決定づけた17世紀ー2 カテゴリー:ワインの成り立ち 2014-12-19 
1453年に、それまでイングランド領だったボルドー地方はフランスに奪還された。そして、1600年頃のボルドーはフランス領で、当時の国王はアンリⅣ世である。アンリⅣ世はオランダからConrad Gaussenを呼んで、1599年から現在のメドックの干拓を始めた。
■ 湿地をぶどう園に変身させる
干拓が行われる前のメドックやオー・メドックは湿地だった。そして段階をふんで干拓が進められ、広大な農地が生まれた。
ブルゴーニュにしても、シャンパーニュにしても、ぶどうが植わっているのはまず斜面だし、斜面だからこそ太陽の恩恵が増幅される。対してメドックはどうたろう? 元々湿地だったところを干拓した平らな土地? そんなところで育ったぶどうから良いワインが出来るのかね?
意地悪な人間でなくても、そんな疑問を抱くであろうことは想像がつく。
オランダ人もそれを危惧しただろうし、母国での経験もあったのだろう。彼らはテロワールに興味を持ち、独特のぶどう品種との融合を図ったという。
■ ウンチクは必然から生まれた?
これは私の想像だけれど、新参の土地だからこそ、努力もウンチクも必要だったのではないだろうか? 正当化し、有難いものと思ってもらうためのウンチクである。
ここの土壌は○○と△△で、なんたらかんたら・・・・。そして立派なシャトーを建て、買い付けに来た商人を接待したり、PRしたりと。
1855年のパリ万博時の格付けだってこの土地のワインを少しでも高く、少しでも多く世界に売り出すための大作戦だったわけ。(すっごい頑張ったんだねえ)
干拓と前に述べたアルノーⅢ世の功績は、現在のボルドーを決定づけたばかりか、現在ワインを語る時に当たり前のように付いて回るテロワールだの格付けだの、何やかやにも多大な影響を与えたようだ。
ちなみに、広義のメドック地域にあるシャトー・マルゴー等の格付け第1級は、元々湿地の中に島のようにあった丘だそうだ。
(写真は、メドック・ワインの公式サイトより)

ボルドーを決定づけた17世紀ー1 カテゴリー:ワインの成り立ち 2014-12-19 
シャンパーニュのカリスマがドン・ピエール・ペリニヨンだとすれば、ボルドーのカリスマはポンタック家のアルノーⅢ世(ArnaudⅢ de Pontac)ということになりそうだ。
ドン・ペリニヨンは1638~1715年、アルノーⅢ世は1599~1681年なので、アルノーの方が一世代年上だがほぼ同時代の人だ。
■ <ボルドーの赤>を方向付けたアルノーⅢ世
今でこそワインといえばボルドーであり、ボルドーといえば主として赤ワインだが、元々ボルドーで造られていたのはクラレットと呼ばれる軽い赤ワインで、その多くがイングランドへ輸出されていた。というのも、12世紀から15世紀に渡ってボルドーはイングランドの支配下にあったからだ。
ポンタック家は商業家で、ジャン・ポンタック(Jean de Pontac)が1533年にオー・ブリオンの畑を入手し、ワイン・ビジネスを始めた。彼の死後を孫のアルノーⅡ世が継ぎ、その次を継いだのがアルノーⅢ世(アルノーⅡ世の甥の息子)である。当時はまだ軽い早飲みのクラレットだった。
アルノーⅢ世はボルドーの赤ワインに改革を起こす。マセラシオンや発酵に時間をかけて、色が濃くてアルコール度も高い原酒を造り、樽の中で長期間寝かしても劣化しない造り方に変えたそうだ。つまり樽の中で時間とともに目減りした分を補うという方法だ。こうして造られた新しいタイプのボルドーの赤は1663年に初出荷された。現在のボルドーの赤の基本となる造り方の誕生である。
■ 宣伝にも長けていたアルノーⅢ世
既にイングランドと太いパイプを持っていたポンタック家ではあったが、新タイプの製品を浸透させるためにアルノーⅢ世は思い切ったプロモーションを実行した。何と、ロンドンにオー・ブリオンを飲んでもらえる店?を出したのだ。これが酒場の原型とも言われていて、オシャレな社交場となり、新オー・ブリオンの宣伝に大きく貢献した。
また彼は、<cru>という概念の提唱者でもある。土壌や気候に裏打ちされた特別な畑としての<cru>である。
彼はボルドー議会の初代議長でもあったから、政治家のトップ自らが、プロデューサーであり、セールスマンだったということになる。
これがボルドーのカリスマ、アルノーⅢ世の簡潔なエピソードである。
(写真は、ポンタック・ソースのサイトより)
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2015-03-02 日本料理の季節感
2015-02-02 ワイン3stepさんのホスピタリティ
2014-12-24 淡路島で見た白亜紀の地層
2014-12-19 ボルドーを決定づけた17世紀ー2
2014-12-19 ボルドーを決定づけた17世紀ー1
2014-12-18 ブレンドのお話
2014-11-20 ドキュメンタリー映画 「モンドヴィーノ」
2014-10-29 チョーク(craie)ってどんな石?
2014-10-08 シャンパーニュの中の3つの産地
2014-10-02 ジャケ買い提案か? 考えましたね!
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